鋳物ってご存知でしょうか?
金属の種類は多岐に渡りますが、要するにドロドロに溶けたあっちっちーな鉄を型に流し込むアレであります。遺跡発掘で矢尻じゃなかった矢じりが出てきたりしますが、あれも鋳造工程が含まれてるし、日本刀も造型は鋳造(そのあと叩いて鍛えるのは熱間鍛造)。そのくらい古い製造方法なのです。
で、実は最近は仕事しながら思うのですが、この鋳造業界が大ピンチ。
・鉄を溶かすための炉が維持できない(原油高)
・環境にやさしくない(粉塵、CO2)
・いわゆる3K どころか 5K職場
「きつい(kitsui)」
「汚い(kitanai)」
「危険(kiken)」
「暗い(kurai)」
「臭い(kusai)」
そして「後継者がいない(koukeisya)」を入れると 6K になるかもしれないこの業種は、かなり悲惨な状況で今年中にその大半が廃業に追い込まれるだろうといわれてるのです。実際、現場へ行くと想像を絶する環境と言わざるを得ない。埃と火の粉が舞い、火花が飛び散り、砂型を固める薬品の匂いがきつく、なんといってもゲキアツ(パチではない)である。半日も工場にいると鼻の穴が真っ黒.....という世界。
経営者も鉄を溶かすための炉を早くから電気化する等、設備投資で工夫をしてきたものの、それが出来ない火力炉をお持ちの方々は原油高により設備維持できない=経営が成り立たないというお話。
一方で他工程からの追い込みもある。従来、鋳物だった製品が鋼板のプレス品に移行していくという流れがある。最近の例だとJR中央線の台車部分かな。以前の201系は鋳物だったが新しいE233系は鋼板プレス品の溶接構造になってる。中央線に乗る機会がある方はチェキラ☆
そもそも鋳物は造型に自由度があり、設計意図を織り込みやすく、軽量化も図れ、なんといっても優れた圧縮特性を備えているので、あらゆる交通機関の足回りを中心に多く活用されてきたけど、環境変化により淘汰されてしまう現実があるという訳です。
でもピンチはチャンスだったりする。様々な社長とお会いして勉強しながら進めてる。自分の担当外の仕事だけど、やっぱ劣悪な環境で頑張ってる人がいると応援したくなるから。まぁ従業員が全員外国人で言葉が通じない....なんて会社が殆どだけど、物を作ることに対して非常に貪欲な人が多いのでそれはそれで楽しいけど、なんといっても今年後半から念願のクリーンディーゼル乗用車が復活するので、まだまだ頑張れる余地はあるんだよね。
knob は明日への希望の炉に火を入れるのだ!(なんちって)