先週のこと。
自宅の下駄箱を整理中、靴がかなりへたっているのを発見。
さて、どこで直してもらおうかと色々悩んだ。
液じゃなかった駅の構内にある預け型の靴やさんだったり、近くにある合鍵やさん。
相方が近所に靴屋があるのを思いだし、急行してみる。
店内は、本当に普通の靴やさん。到底 knob が履きそうもない靴のオンパレードで
健康革靴とか、紳士靴の類。その奥から、いかつい顔のおっさんが出てくる。
その手は、ゴツゴツしていて、指は太く、爪の間には靴墨がへばりついている。
相当気合いが入っているおっさんだった。
早速、靴を見せると
「あ〜あ」
って感じの顔をしてる。擦り減ったカカトをいきなりベリベリとペンチでひっぱがす。
「2足あるんですけど、どのくらいかかりますか?」
そうすると、おっさんは、急に微笑み出した。
「最近は、原油高でカカトも高くてね。1足2,700円です」
knob も、正直高いと思った。でもそのおっさんは言うんです。
「お客さん、このカカト、一度代えてるでしょう?」
「はい。」
「あのね、安い靴底は、すぐ減るからね。気を付けた方がいいよ。駅前のとか」
「......。」
すっかりばれてるんですけど....。
今回、カカト以外に靴底が剥がれかけているのもあった。これを見て、またおっさんが微笑み出す。
「最近の靴は、靴底と甲革が部品で国内へ入ってきてて、組み立てて売ってるんだ。」
「なんでそんなことするんですか?」
「靴全部で入れちゃうと関税がかかって、急に高くなっちゃう。」
「へー」
「国内に販売拠点があれば別だけど。まぁ最近流行の作り方、売り方だぁね。」
靴底のゴムと甲革の革との接着が良くなく、最近この手の修理が多発してるのだそう。
「組み立てて、接着した直後は、柔軟性があるけど、時間が経つと接着剤が硬化してきて、柔軟性がなくなるんだ。」
「常に曲がったり延びたりしてますからね。」
「そういうこと。」
最初、いかついおっさんの顔は、始終万遍の笑顔。靴が大好きの職人さん。
「カカト以外のお金は入らないよ。」
そして、今日靴を取りに行った。前回とは違い、万遍の笑顔で迎えてくれた。
「靴底の側面、色が剥げてたから、茶色に塗っておいたよ。黒い靴だからよかんべ?」
「ありがとうございました。」
2足とも靴底のみならず、靴全体がまるで新品のようによみがえっていた。
こんな僻地に靴の神がいると思った。
knob っす。
も門ん>
親父も職人だからねー。どんな偉い役人だろうが、博士よりも
こういう職人さんに、憧れてしまうよ。探して見よう。きっといる!
健忘>
ipod の鏡面仕上げの上手さを、アメリカが見つける...。なんて因果な
話だろうと思う。こういう職人さんをコケにする風潮は、嫌だね。
なんとかならんもんか。
Comment by knob — 2006/10/04 12:41 AM